水たまりは希望を写している

歯車は”走る”し、夢も”走る”

歯車は走るのか?

「プリンセスコネクト!Re:Dive」のメインテーマソングである「Lost Princess」は、ゲームやアニメ版では使われていない、2番があって、

走り出した歯車が
冒険再び呼び醒ます
欠けた記憶 手繰り寄せて
確かめてみたいよ

プリンセスコネクト!Re:Dive メインテーマ「Lost Princess」

というサビの歌詞があります。Lost Princess の歌詞自体は、割と理解しやすいけど、どうしても引っかかってしまうのがこの「走り出した歯車が~」というフレーズ。

そもそも、歯車は走らないし、歯車は回るものですよね。仮に歯車が走ってたら、それを使っていた機械は壊れているに違いありません。部品が取れてしまってませんか? ともあれ、「歯車が走る」というのは、違和感のある表現ですね。

じゃあなぜ、Lost Princessでは、このような表現をしたのでしょう? この「走る」には専門用語的なニュアンスがあって、例えばコンピュータにおいて、プログラムを実行させるときは「プログラムを走らせる」と言うことがあります。実行という動詞は、英訳すると Execute とも Run とも訳せます。Lost Princess の「走り出した~」は、英語でいえば Run 的なニュアンスがあるといえます。

あえて「走り出した」と表現することで、「レジェンド・オブ・アストルム」がふたたび始まることを強調しているのではないか、というのが僕の考察です。だって Re:Dive ですから。

夢も走るのか?

実際は走らないけどあえてそう表現するやつ、実は前作でもやってるんですよね。「プリンセスコネクト!」のメインテーマソングである「つなぐもの」では……。

笑顔と君をつなぐもの
それを探しているよ
走り出した夢は離しはしない
さみしい夜に彷徨っても
絆は消えないから
今握りしめるよ この手を

プリンセスコネクト! メインテーマ 「つなぐもの」

ここでも「夢を走るもの」として表現。もちろん、夢も走りません……よね。夢の中で走ることはあっても、夢が走ることはありえません。

Lost Princess と同じく、「夢」というのは「レジェンド・オブ・アストルム」自体を体現したものであり、そしてメインヒロインであるヒヨリ、ユイ、レイ、それぞれの「願い」を指してるといえます。”夢のような世界”であるレジェンド・オブ・アストルムで「プリンセスコネクト」をすることによって、願いが叶うわけですから。

さらに、「つなぐもの」の「走り出した夢は離しはしない」というのは、「七冠」サイドの視点でもあるといえます。例えば、覇瞳皇帝、もとい千里真那は自分で作ったアストルムで皆から愛される……というのが彼女(彼)の願いですし。