スマホに SD カードを挿すのはやめよう
SD カードを端末に挿せるのは Android スマホのメリットとして挙げられるが、最近は「SD カードが挿せない Android」が増えてきた。それはなぜか? もはやスマホに SD カードを挿すのは、時代錯誤だからである。
内部ストレージ容量が十分になった
初期のスマホは内部ストレージ (俗に ROM と呼ばれる) の容量が 16 GB とか 32 GB くらいしかなく、ある程度アプリや写真、音楽を入れるとカツカツになってしまう。そこで SD カードの出番。写真の保存先や音楽ファイルを SD カードに待避させることで、できるだけ内部ストレージの容量を空けるという運用ができていた。
しかし今はどうだろうか。内部ストレージの容量は 128 GB あるのが当たり前になったし、ごく普通のハイエンド端末なら 256 GB を超えるのがデフォルトになってきた。このくらい内部ストレージの容量が大きければ、高画質な写真を撮影しても、FLAC な音楽ファイルを突っ込んでも、容量超過の心配はいらなくなった。
SD カードは遅い
(ある程度ちゃんとした) スマホの内部ストレージは超高速なストレージ規格を採用していて、SD カードの普及帯の速度と比べると圧倒的に速い。なので何をするにしても SD カードは内部ストレージより遅い。
相対的に SD カードは遅いので、スマホの一部の機能は SD カードを使えない。例えば Galaxy の SD カードが挿せる機種は、4K 60 fps の動画を撮影するとき保存先に SD カードを使えない。RAW 撮影をするときも同様に使えない。もちろん、ちゃんと速度の出る SD カードを使えば撮影できるはずだが、たぶんメーカーは「様々な SD カードが挿される」可能性を考えて、あえて機能を潰しているのだろう。
上記の画像では UFS 3.1 な内部ストレージとそこら辺にあった SD カードの速度を比較している。もちろん、画像のより速い SD カードは存在するが、UHS-II に対応したスマホなんて聞いたことがないので、スマホに挿してもメリットがない。
SD カードはセキュリティ的に弱い
「SD カードを暗号化して使用している人のみが、この僕に石を投げなさい」
……と言ってもいいくらい、SD カードを暗号化している人は少ない。撮影した写真の保存先に SD カードを指定することができるが、内部ストレージとは違い SD カードは標準で暗号化されていないため、セキュリティ的に弱い。端末内にあるデータはロックを解除しない限り復号化されないが、SD カードは端末から取り外してパソコンなどに挿せばデータが読み取れてしまう。
「じゃあ暗号化すればいいじゃん!」という話にはなるが、取り外し可能なストレージなのにほかの端末で使えなくなってしまったら、そもそも取り外し可能なストレージを使う必要性がない。故に、SD カードに盗られたら困るデータを置くことは危険なのだ。音楽ファイルくらいにしておこう。
余談だが、Apple の iPhone はもちろんのこと、Google の Pixel (Nexus) はシリーズ通して SD カードに対応していない。つまり、そういうことである。
SD カードよりデュアル SIM
最近のスマホが SD カードに対応しなくなったのは、決して買い換えペースを速めるとかそんな理由ではない。シンプルに、SD カードを挿すメリットが消えつつあるからだ。ワンセグやラジオが消えたのも同じ理由だ。SD カードを挿せるより、デュアル SIM の方が嬉しいだろう……。最近は 0 円で運用できる SIM もあるので、なおさら需要が高いはずだ。
――ということで、スマホに SD カードを挿すのはやめよう。今となってはメリットがないし、安全なデータ保管場所でもない。