OPPO A55s 5G 実機レビュー。ローエンド端末としての完成度が高い
スペック概要
サイズ | 162.1 x 74.7 x 8.2 (mm) /178g |
OS | ColorOS 11+ |
SoC | Qualcomm Snapdragon 480 5G |
RAM | 4 GB |
内部ストレージ | 64 GB |
ディスプレイ | TFT 液晶 (LTPS) / 6.5 インチ / FHD+ (1080 x 2400) / 90 Hz |
バッテリー | 4000 mAh |
アウトカメラ | 広角 (13 MP / 換算 26 mm / F 2.2) 深度測定用 (2 MP / 換算 ? mm / F 2.4) |
インカメラ | 広角 (8 MP / 換算 26 mm / F 2.0) |
その他 | USB 2.0 / 3.5 mm イヤホンジャック / 保護フィルム・ケース同梱 |
SoC、RAM
SoC は Snapdragon 480 5G で、4 GB の RAM を搭載している。Snapdragon の 4 番台というのはいわゆる “ローエンド” な SoC なのだが、5G 対応のついでに性能の底上げが行われていて、前世代の 460 と比較すると差は圧倒的。ローエンド端末の性能が全体的に向上するのは素晴らしい。
RAM は近年の Android 端末にしては小さいといえる。ColorOS のタスクキルがキツすぎというのもあって、基本直近開いたアプリ 2, 3 つくらいしか開きっぱなしにできない。スワップ領域があればまた変わってくるのだろうけど、ColorOS 11 の時点では実装されていない。基本この価格帯のスマホを買うユーザーはマルチタスクを意識してないので、妥当といえば妥当か。
外観
ローエンド端末ということもあり、ボディは安っぽい。左側に音量ボタンが付いているのは Good。液晶ディスプレイだからか底面のインターフェースが中央より下に寄ってるのは少し気になる。同様の理由で画面の四辺が均等の幅になっていないのも気になるが、これはハイエンド端末でもよくあることなのでどうでも良いかも。
カメラモジュールにトリプルカメラにみえるようフェイクのレンズが描かれている。正直、コスト削減でそうしてるのか、ただの見せかけなのかは分からないけど……。
ディスプレイ
液晶ディスプレイで FHD+。6.5 インチでこの解像度は一般的。有機 EL ディスプレイに慣れているので、画面隅の影と若干白みがかっている感じが気になるが、使っていれば気にならなくなるレベルである。ローエンド端末だと HD+ まで解像度が削られるケースもあるので、良心的なんじゃないかな。
リフレッシュレートは 90 Hz で、液晶ディスプレイ特有の残像感はあるものの、滑らかに動く。が、SoC のパワーは最低限のため、安定して 90 FPS で動くアプリは限られている。
あとは輝度か。ローエンド端末にありがちなんだけど他のスマホと比べると最大輝度が低いので炎天下では使いづらいかも。
スピーカー
端末底面にあるスピーカーのみ動作し、通話用スピーカーはメディア再生に使われない。なので音の広がりはない。変に特定の音域が大きく聞こえるなどはなく、ローエンド端末にしてはよく頑張っている。
イコライザー機能は ColorOS 11 時点では実装されていないが、リアルサウンドテクノロジーという設定項目があり、いくつかのプリセットから音響効果を選ぶことができる。確かに選択を変えれば変化はあるけど、そもそもこの設定をオフにできないので、ニュートラルな音質で聴けないんじゃないか? という疑問が浮上した。
使用感 : ローエンドの割には良く動く
数年前のローエンド端末の印象は「電話とメールできれば良い、それ以外はキツい」のような印象しかなかったが……。そんな印象が吹っ飛んだ。Snapdragon 835 搭載機くらいには良く動く。フレームレートは安定しないものの、90 Hz で駆動するディスプレイも操作感の向上に大きく貢献しているといえよう。
ゲームは性能の差が顕著に出やすい。ロード時間はハイエンドな SoC と比べるとかなり差があるが、ゲームの進行自体は割と安定している。だが、パフォーマンスモニターを見てみる限り、CPU と GPU にあんまり余裕はないので、ゴリゴリの 3D で高速な応答性を求めるゲームは厳しいところがある (とくにシューティング系は厳しいと思う)。
プリンセスコネクト!Re:Dive やウマ娘 プリティーダービーをメインにプレイしているが、ハイエンド端末と比較するとロード時間に差が出るものの、クエスト進行中やレース中は割と安定していた1これは等速での状態であり、進行速度を倍速にするとやや不安定になる。。視点が切り替わる時は瞬間的にカクつくが、どちらも高度な操作を必要とするゲームではないため、問題なく遊ぶことができた。
音声の遅延は若干ある。これがローエンド端末だからか ColorOS だからかは不明だが、そもそもこの端末で音ゲーをする人は限られているのでどうでもいいっちゃいい。
60 FPS よりも高いフレームレートでプレイできる Arcaea をプレイしたが、パフォーマンスモニターを見る限り 59, 60 に張り付いていて、なぜか 90 fps で遊ぶことができなかった。ColorOS 側が制限を掛けている可能性がある。
ColorOS 11 : 機能が豊富だが癖が強い
Android 11 ベースの ColorOS 11 を搭載している。現時点で ColorOS 12 へのアップデートは提供されていない (予定はある)。
素の Android からかなり機能追加が行われていて、UI のデザインも大きく違う。大幅に改変されているにもかかわらず、UI のグリッチや不安定になることもなく、ColorOS 11 の完成度は高いといえる。
- 3 本指で画面分割・スクリーンショット
- クイック設定パネル内で Wi-Fi、Bluetooth を切り替え
- スマートサイドバー
などが便利だなと感じた。しかし、お節介というか、無駄に機能の削減や変更を加えているところも散見されるのも事実で、以下の改変が気に食わなかった。
- クイック設定パネルから選べるマナーモードが 2 種類から 1 種類に減っている
- 「履歴」画面からアプリの設定画面に移動できない
- 電池残量の % 表示がアイコン内に移動している (小さくて読めない)2ColorOS 12 では改善されているようなので、今後のアップデートで解決されるはず。
- アプリアイコンを (オリジナルのアイコン画像を使用したまま) 円形に変更できない
- システム UI の一部フォントが標準と異なる
- ロック解除中に来た通知がホーム画面に表示されない
- 通知アイコンに色が付くことがある (条件がよく分からない)3ステータスバーが白や黒以外の配色になるアプリを使うとき、通知アイコンの視認性が著しく低下する。正直つらい。
……などなど。まぁ、「そういうもの」と捉えればスルーできるレベルではあるが。
カメラ : 写りとしては最低限で、とりあえずのレベル
広角レンズは最近のスマホにしては画角が狭めで好き。なんだけど、お世辞にも画質が良いとは言いがたい。一般的なノイズはともかくカラーノイズが一般的なスマホカメラよりも多く出やすい傾向にある。ただ単純に光学性能が足りていない感じ。中心部の解像性能が低い上に、四隅はさらに低下し油絵のようなべちゃっとした感じになる。
深度測定用レンズもあるが、残念なことにほぼ使い物にならない。ポートレートモード時に使われていると思われるが、精度がよろしくない。望遠レンズを使用したぼかし処理を行っているスマホカメラの方が綺麗。上の画像はかなり複雑な被写体だけど、人を撮っても雰囲気は同じ。4だけど、赤が飽和してないのは優秀だなと思った。ここは素直に褒めたい。深度カメラの代わりに望遠レンズでも良かったんじゃないかな。実質シングルカメラ。
逆光だとフレアが発生し、全体的にコントラストが弱くなる感じに。油絵みたいな質感も相まって、オールドレンズみたいな雰囲気があるな。
写真作例
※ 画像をクリックすると原寸大で表示します (ファイルサイズ大)。WebP の 95% に変換済。
上の画像は撮影条件が悪いので参考程度に。
暗所性能は期待できないため夜景の撮影は行っていない。
顔認証
本端末は顔による生体認証が行える。Face ID のようにセキュアな顔認証ではないものの、目をつぶっていたら認証しないという最低限のセキュリティ性は確保されているので良しとする。顔認証時、ロックを即時で解除するかロック画面を表示したままにしておくかはオプションで選ぶことができ、即時解除を設定すれば電源ボタンを押してから 1 秒弱でロック解除できる。
顔の半分が見えてれば OK みたいなレベルなので、そっくりさんが居れば簡単にロック解除できそうではある。今時って感じ。
バイブレーション
安物スマホ特有というか、バイブレーションがひどい。ある程度値段のするスマホは、バイブレーションがすぐに作動してユーザー体験の向上に貢献してくれるが、この端末は 200 ミリ秒くらい遅れて振動し始めるので気持ち悪い。設定でバイブをオフにして運用するのがマストだろう。正直 “ない方がマシ” レベル。
まとめ
ローエンド端末の見方が変わった
数年前のローエンド端末は本当に「電話さえできればいい」くらいのレベルで、Twitter なりゲームなりする僕にとっては使えたもんじゃなかった。しかし今はどうだろう。Snapdragon 480 5G はそこらのアプリを難なく実行できる性能を備えている。もちろん同世代のハイエンド SoC には遠く及ばないが、それでも “最低限のちょっと上” レベルはクリアできている。
ガラケーからの乗り換え需要とか、サブ端末とか
3G 停波に伴って仕方なくスマホを買わないといけない人とか、性能を必要としないサブ端末の運用をしたい人におすすめしたい。メインのスマホを充電してる間に使うとか、カーナビ代わりに使うとか。ハイエンド端末ユーザーにはそういう使い方が合ってると思う。
- 1これは等速での状態であり、進行速度を倍速にするとやや不安定になる。
- 2ColorOS 12 では改善されているようなので、今後のアップデートで解決されるはず。
- 3ステータスバーが白や黒以外の配色になるアプリを使うとき、通知アイコンの視認性が著しく低下する。正直つらい。
- 4だけど、赤が飽和してないのは優秀だなと思った。ここは素直に褒めたい。