水たまりは希望を写している

福岡市地下鉄で行われている「交通系 IC・タッチ決済一体型改札」実証実験を体験してきた話

2022 年 5 月 31 日から開始した、福岡市地下鉄で行われている「交通系 IC・タッチ決済一体型改札」の実証実験を体験してきたのでその感想を書く。実際に体験している様子は動画にしてるので上の YouTube 動画をどうぞ。

利便性

「交通系 IC・タッチ決済一体型改札」といっても、同じ読み取りエリアで使い分けできるわけではない。タッチ決済するカードや端末をかざす場所は別にある。既存の改札を改造して導入コストを下げるためにこうなったのだろう。初めて使う乗客はちょっと迷うかもしれないが、これはデザインの力でなんとでもなるだろう。

FeliCa に対応していないスマホをメインで使用している僕としては、SUGOCA1JR 九州の交通系 IC カード。 を用意することなく、手元にあるスマホで入場・退場できるのは良いなと思った。

後述するが、交通系 IC より処理に時間が掛かる。これは気持ちちょっと腕を伸ばしてやることでカバーできそう。

速度面について

上に貼り付けた動画を観て貰えれば分かるが、NFC を使用した決済とは思えない速度で改札を通ることができる。とはいうものの、厳密には “決済” は入場時も退場時も行われておらず、改札で行われるのはカード情報の読み取りだけのようだ。決済は後日行われる。

31 日の乗車が翌日に決済されたことを表すスクリーンショット。

退場時に決済を行わないことで、可能な限り処理を高速化させているのだろう。実際、かざすと一瞬で反応する FeliCa には敵わないものの、十分実用的な速度を出せている。カード (端末) をかざしてから 0.3 秒くらいで反応する感じ。このくらいの速度であれば、ほとんどの駅において混雑時でも十分処理できるレベルなのではないだろうか。ふぇ、FeliCa がオーバースペックなだけだよ……。

まとめ : だからといって、交通系 IC に代わる存在にはならない

クレジットカードや FeliCa 非搭載のスマホで乗車できることはたいへん素晴らしいことであるが、タッチ決済が交通系 IC の代わりになることはなさそう。特に、手数料の観点から考えれば JR がタッチ決済を導入するメリットがない。故に、タッチ決済の普及は JR 以外の (Suica の) サードパーティから始まり、そこまでで終わるだろう。JR がタッチ決済を導入する可能性は低い

一部の地域を除いて、電車は JR が強いので……。電車通勤をしているほとんどの乗客はタッチ決済を使うことはなさそう。

決済が後から行われるので、定期券や回数券、一日乗車券の実装といったこともできるのではないか、と思った。それらがひとつのカード・端末で済むのは画期的だよね。

速度的な不安要素はほぼ無くて、どちらかというと「JR に導入されないだろうから流行らない」が一番デカい。

つぶやき

追記 : JR でもタッチ決済の実証実験が始まった

https://www.jrkyushu.co.jp/railway/visatouch/

正直、JR がクレカのタッチ決済を採用するメリットがないと思っていたので、この実証実験に参加するとは思っていなかった。福岡市地下鉄と同じシステムで、反応速度も同じだった。

福岡市地下鉄と JR を合わせると、博多・中央・東区周辺から太宰府まで、なんとクレジットカードだけで移動することができる。

将来的にインバウンドがあることを見越しての実証実験……ということなのかな? ともあれこの動きは僕としては予想外だったので驚いた。

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    JR 九州の交通系 IC カード。