水たまりは希望を写している

人助けをした話 2026 年版

会社の昼休み、車に乗り込んだ。今日は今年最初のモーレツに暑い日で、車の外気温計は摂氏 34 度を示していた。

「今日は暑い!」と写真を撮りたくなるほどだった。

エアコンが効き始める前の地獄のような熱さに耐えながら車を走らせていると、交差点の端で自転車が停められているのに気づいた。よく見ると、自転車の後ろで男性が倒れている。車を路肩に止めて様子を見に行くと、かなり高齢と思われる男性がうずくまっていた。

話しかけると、返事はあるものの反応は鈍い。声の様子からして、相当ばてているのは明らかだった。そばを離れ、自動販売機を探し、ミネラルウォーターを購入。最初は体を起こすことすら難しい状態だったが、なんとか起き上がって水を飲むと、少し回復したようで「もう家に帰る」と話し始めた。

とはいえ僕も昼休みは限られているので、近くのスーパーで買い物をして、もしまだそこにいるようであればもう一度様子を見に来ると伝えて、その場を離れた。

戻ってみるとそこには居なかった。少し周りを移動すると、ふらつきながらも家路についているようだった。健康状態が気になり、車でその周辺をぐるぐると回りながら、無事に家にたどり着けるかを見守った。

無事に家に帰り着いたようで安心したのも束の間、力が出ないのか、家の目の前でふたたび横たわってしまった。狭い道路で申し訳なかったが車を停め、おじいさんのもとへ駆け寄った。

話をしていく中で、病院に行くか、救急車を呼ぶか、家にエアコンはあるのか、などを尋ねた。なんと家にはエアコンがないという。この暑さでこの体調。しかもエアコンのない部屋に戻ったところで回復するとはとても思えず、救急車を呼ぶことを提案した。最初は消極的な反応だったが、こちらは #9110 に電話をして指示を仰ぐことにした。電話をしている最中に、本人も救急車を呼びたいという意思が伝わったため、呼ぶことになった。

ところが、いざ 119 にかけようとすると、なぜかスマートフォンの電話アプリが強制終了してしまう。使っているスマートフォンがカスタム ROM の LineageOS であることが影響しているのかもしれない。手元にあった iPhone でもかけようとしたが、こちらは契約の切れた SIM カードしか入っておらず、発信できない。もちろん SIM ピンなんてものもない。非常に困った。

仕方がないので周辺の家のチャイムを押し、代わりに 119 番をお願いできないか頼んでみた。結果、親切に対応いただき通報することができた。到着を待つ間もおじいさんの状態を確認しながら過ごし、最終的に救急車で無事搬送されていった。

救急車を待つ間、入院に必要な物を家から取ってきてほしいと頼まれ、鍵をもらい部屋に入った。部屋は、正直に言ってかなり汚い状態で (最近「ヤニねこ」というテレビアニメが話題ですが、あれの 3 倍くらいでした)、人が生活する空間としてかなり厳しいものだった。鼻をつまみたくなる強い匂いもあり、息を止めながら必要な物を探した。確かにエアコンもなかった。たとえ今回無事に回復したとしても、このままの住環境で健康的に暮らしていけるのか、不安を感じた。

幸いなことに、僕が緊急通報できなくて助けを呼べた人は、なんと民生委員だった。これを機によい方向になればいいなと願うばかりである。

しかしながら、今回はかなり偶然が重なったのではないか。僕が昼休みをこの時間に取っていなければ。別の場所に移動していたら。自転車が止まっていることに何の疑念も抱かなければ。いなくなった後に探さなかったら。すんなりと自宅に帰れてしまったら。……。

最近長期間咳が続いていて治療を続けているのだが、この日を境になぜか悪化してしまった…… (今は良くなっています)。

この記事を書いた人

AioiLight

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