外出すると見つかる名称不明の Bluetooth デバイスのほとんどは iPhone (iPad)
端的に言うと
- iOS (iPadOS) は Bluetooth の設定画面を開いているとデバイスの名前で他のデバイスから検索可能になる
- iOS (iPadOS) は Bluetooth を有効にしていると名称不明のデバイスとして他のデバイスから検索可能になる
- iOS (iPadOS) の位置情報サービスをオフにしても、この機能は機能し続ける
- 未検証だが、watchOS (Apple Watch) や AirPods も検索の対象になるかもしれない
まずは Bluetooth の設定画面を開いてみよう
今回は検証に Android スマートフォンの OnePlus 6 と iPad mini 5 を使用する。
まずは iPad の設定で Bluetooth がオフの状態にしておく。もちろん、Bluetooth はオフなので、Android 端末側で開いている Bluetooth の接続画面も何も表示されない。
次に iPad の Bluetooth をオンにする。すると iPad に設定した名前 (僕の場合は「まな板」) で見つかるようになる。そして、“iPad の名前” 以外にも検索で見つかるデバイスが増えた。名前が付いていないため、Bluetooth のアドレスがそのまま表示されている。これが今回の話のキモだ。
iPad で設定画面を閉じると、検索可能だった「まな板」が利用可能なデバイスのリストから消え、名前が付いていないデバイスだけが残るようになった。iPad の Bluetooth をオフにすれば、不明なデバイスも消える。つまり、「まな板」も名前のないデバイスも、この iPad 自身だったのだ。
iPhone や iPad 同士が Bluetooth Low Energy (BLE) でつながり、位置情報の精度向上や、紛失した端末・アクセサリーの検索に使われているのだ。外出すると大量に見つかる名前不明のデバイスの正体は、Apple の携帯電話かタブレットだったのだ。
位置情報サービスをオフにしても消えない
「位置情報サービスをオフにすれば位置情報の共有が行われなくなる」とされているが、オフにしても依然として不明なデバイスとして見つかってしまう。なので Bluetooth を切らない限り他のデバイスに見つけられてしまう。
なぜ iPhone / iPad だと分かるのか?
BLE 通信の中身を見れば分かる。Android 端末上では不明なデバイスとして扱われているけど、Bluetooth Low Energy の規格に沿って通信しているわけだから、アプリを使えば相手がどんな端末なのか分かる。今回は BLE Scanner を使用した。
不明なデバイスのアドレスに接続して相手のデバイスの情報を取得した様子。Apple Inc.
という製造元の文字列があって、MODEL NUMBER STRING には iPad11,1
と書かれている。iPad11,1
は iPad mini 5 の識別子1The iPhone Wiki のページで調べられる。で、僕が使っている iPad と一致する。
補足 : BLE はいろいろなところで使われている
Connectable な BLE デバイスは設定画面で表示されるけど、そうでない Non-connectable なデバイスは表示されない。例えば Google / Apple の Exposure Notification は表示されない。先ほど紹介した BLE Scanner では表示される。例えば、Exposure Notification をオンにした端末を近づけるとスキャナー上で検知できる。
デバイスに依るけど 20 m、見通し距離2通信しているデバイス同士に一切の障害物がない場合の通信可能距離。がよければ 100 m くらいなら余裕で見つかると思う。ZigBee はもっと飛ぶし、なんなら 300 m くらいならいけるかもしれない (要出典)。
ワイヤレスイヤホンや紛失防止タグ、パソコンなどにも使われていて、Connectable な場合は設定画面に表示される。
まとめ
- 外出すると見つかる名称不明の Bluetooth デバイスのほとんどは Apple 製品の位置情報共有サービス
- iPhone / iPad 同士のネットワークに使われているので、iOS / iPadOS 上で不明なデバイスと扱われることはない (= 利用可能なデバイスの一覧には出てこない)
- Android はもちろん Apple の BLE ネットワークに関係ないので、名称不明のデバイスとして表示される
- 位置情報サービスをオフにしてもなぜか BLE 通信は行われている
- “プライバシー” とは?
- 名称不明の Bluetooth デバイスがたくさん見つかっても、心配する必要は無い
- リンゴアレルギーの人は気をつけた方がいいかもね (笑)
- 1The iPhone Wiki のページで調べられる。
- 2通信しているデバイス同士に一切の障害物がない場合の通信可能距離。