もう Links フォルダにまとめなくて良い。illustrator リンク機能の新常識!
このブログ記事のまとめ
.ai ファイルがあるフォルダの下層に自由にリンクファイルを置くことができるようになった。Links フォルダにまとめる必要性は減った。膨大なリンクファイルを必要とするドキュメントでは、フォルダ分けでかなりファイル管理が楽になるね。
ただし、同名のファイルはこれからもできるだけ避けるべき。illustrator が正しく扱えているとしても、人間がファイル管理するときの負荷が減ってないので。
いままでの illustrator の仕様
illustrator のリンクでは、いわゆる絶対パスでリンクが作成されていた。つまり、フォルダ名を変えたり、環境が変わったりするとリンクが切れてしまう。
リンクが切れてしまったは、「.ai ファイルがある階層の同名のファイル」、「.ai ファイルがある階層の Links フォルダ内の同名のファイル」という順番で illustrator が自動的にリンクを修正しようとする。
この場合の問題点は 2 つだ。
- 名前が同じなファイルをリンクしていると、リンクの関係性が壊れる
- 例えば .ai ファイルがあるフォルダと、Links フォルダに
01.png
という違う画像なのに同じファイル名のリンクファイルがあると、先ほど紹介した順番にしたがって、どちらのリンクも「.ai フォルダがある階層のファイル」に変わってしまう。
- 例えば .ai ファイルがあるフォルダと、Links フォルダに
- 頻繁に環境を変える場合、画像を全て Links フォルダの直下に格納する必要がある。
- 5、6 個ならまだしも、リンクファイルがたくさんあると、管理が大変になる
このような illustrator ドキュメントがあるとする。連番のファイルが、ai ファイルと同じフォルダと、Links フォルダの両方に置かれている状態。もう最悪のリンクのつなぎ方である。このファイルを絶対パスが崩れるように移動させ、開きなすとこのような表示になる。
……これはひどい。ちなみに、何のエラーも出ずに勝手に画像が置き換わってしまう。そのため、illustrator では他のクリエイティブソフトよりもファイル管理が厳しく、同名のファイルなどもタブーとされていた。しかし、2024 年 4 月の illustrator 28.5 から、この仕様が改善されている。
これからの illustrator
illustrator のリンク周りの仕様が変更され、リンクの自動修正の挙動が変わった。リンク切れを起こしていても、.ai ファイルがあるフォルダと、そのフォルダの下位に存在するフォルダがリンク先であれば、ファイル名を変更しない限り正しくリンクを修正できるようになった。
これは、例えば同名のファイルを .ai ファイルがあるフォルダと Links フォルダに置いていても正しく修正され、しかも Links という名前以外の任意のフォルダ名でも有効だ。
また、Windows と macOS 間での相互運用性も高まっており、.ai ファイルがあるフォルダ内に入っているリンクにおいては、どのように移動しても正しいリンクが再設定されるようになった。
検証結果を載せておきます
- Links フォルダと .ai ファイルの直下に同名のファイルを置いて、フォルダを別の場所に移動させる
- 今まで : リンクが破壊される
- これから : 正しく再設定される
- .ai ファイルがあるフォルダの中に Links 以外のフォルダを作りリンクファイルを置き、フォルダを別の場所に移動させる
- 今まで : 正しく再設定される (Windows / macOS)
- これから : 正しく再設定される (Windows / macOS)
- Windows 環境で .ai ファイルがあるフォルダの中に Links 以外のフォルダを作りリンクファイルを置き、macOS 環境で開く
- 今まで : リンクが見つからなくなる
- これから : 正しく再設定される
- macOS 環境で .ai ファイルがあるフォルダの中に Links 以外のフォルダを作りリンクファイルを置き、Windows 環境で開く
- 今まで : リンクが見つからなくなる
- これから : 正しく再設定される